第21回「中小企業優秀新技術・新製品賞」

審査委員長

吉川 弘之
(科学技術振興機構 研究開発戦略センター長)
吉川弘之
 中小企業優秀新技術・新製品賞は、今回で21回目を迎えます。この賞は、独立系中堅・中小企業の新技術・新製品を対象としておりますが、応募件数が多く、作品レベルの高さは、際立っております。審査にあたる私たちにとりましても、優れた作品の中からさらに優れたものを選ぶのは、喜びでもあり、苦しみでもあります。

応募総数358件と多数
 今回は「技術・製品部門」301件、「ソフトウエア部門」57件2部門の合計で358件でした。応募件数が300件を越す賞は、国内では珍しく、水準・注目度の高い賞と自負しております。
 これはひとえに、本日表彰される皆様をはじめ、これまで本賞に応募・チャレンジされてこられた企業の方々の、技術開発にそそがれている熱意の現れであり、わが国の技術振興と産業経済の発展に大きく貢献されているものと、敬意を表する次第です。

審査の仕方
 審査は、「優秀性」、「独創性」、「市場性」という、3つの観点から、1件ごとに、複数専門審査委員による評点と、全体協議による評価すり合わせをおこない、さらに「中小企業らしさ」、「環境に対する配慮」、「社会的有用性」なども考慮に入れ、審査しております。
 技術・製品部門は4回、ソフトウエア部門はデモンストレーションを含め3回にわたって審査・絞り込みを行ない、議論を重ね、最終段階では、実地調査・ユーザーヒアリングなども行ないました。これらの専門審査に加えて、審査委員会2回の審議を経て、本日表彰の35件を決定しました。
 応募作品はどれもアイデアや工夫に溢れ、特に上位100件ほどは、それぞれの分野で高い評価に値するレベルのものばかりであります。惜しくも落選した作品の中にも、将来が楽しみな作品が多数あったことを申し添えます。

受賞作品の特徴
 厳しい経済環境と競争の中で、営々と研究開発を積み重ね、高度かつ独創的な技術・アイデアにより、優れた作品を生み出されていることに、いつもながら感銘を受けております。  今回応募作品全体の特徴を一言で表すのはなかなか困難ですが、技術・製品部門では、従来技術の改良だけでなく、発想を転換した革新的な技術や、環境、QOL改善を意識した製品が増えてきたと感じました。
 長官賞作品は、プラズマ発光を利用したハンディサイズの分析装置です。これまで実験室の中に限られていた元素分析測定を、室外でも可能とした小型の分析装置です。
 ソフトウエア部門では、ウェブ関連技術・サービス、セキュリティなどの作品の中から、ユーザーニーズに応えた、実用性や市場性が期待される作品が受賞されました。

産学官連携特別賞
 産学官連携特別賞としては、5件を表彰させていただきました。
 他企業とのアライアンスにより共同開発を行ったもの、さらには、公的機関が所有するシーズをこれまで蓄積してきた技術に活用して商品化・実用化したものなどが数多く見られます。

技術経営特別賞
 もう一つの特別賞として、技術経営特別賞ですが、今回は4社が受賞されました。
 技術面で入賞した企業の中から、決算資料などの審査により、安定した財務基盤を持ち、かつ収益力・成長性ある企業を併せて表彰するものです。
 研究開発と企業の安定経営を両立することは企業の成長飛躍にとって欠くことのできない車の両輪であり、経営者のご努力には敬意を表するものです。

製造業が主役
 昨今の経済危機は、金融商品が経済の舞台に踊り出て知らず知らずのうちに主役となり、それを当たり前の姿として受け入れたことが原因といえます。富とは本来、技術的な工夫から生まれるもので、それを支援するのが金融の役割です。製造と金融との間にあった協力関係にひずみが生じ、そこから引き起こされた結果に対する反省が世界的な規模で生まれています。今こそ製造業が主役となって責任を果たさなければなりません。今回受賞された皆様方の努力をさらに展開していただきますことを心から祈念する次第です。また、主催者・関係各位の変わらぬご努力をお願いしまして、簡単ではございますが、審査講評とさせていただきます。

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