第23回「中小企業優秀新技術・新製品賞」

審査委員長

吉川 弘之
(科学技術振興機構 研究開発戦略センター長)
吉川弘之
 「中小企業優秀新技術・新製品賞」は、今回で23回を迎えます。この賞は、独立系中堅・中小企業の新技術・新製品を対象としておりますが、応募件数がこれほど多い賞は、国内ではあまり例がなく、水準・注目度の高い賞と自負しております。

応募総数は過去最多
 今回は過去最多の応募があり、「一般部門」416件、「ソフトウエア部門」121件、2部門の合計は537件でした。
 これはひとえに、本日表彰される皆様をはじめ、これまで本賞に応募チャレンジされてこられた企業の方々の、技術開発に注がれている熱意とたゆまぬ努力の現れであり、わが国の技術振興と産業経済の発展に大きく貢献されているものと実感し、敬意を表する次第です。

「優秀性」、「独創性」、「市場性」
 審査は、「優秀性」、「独創性」、「市場性」という、3つの観点で行い、さらに「中小企業らしさ」、「環境に対する配慮」、「社会的有用性」なども考慮に入れ、審査しております。
 一般部門は4回、ソフトウエア部門はデモンストレーションを含め3回にわたり議論を重ね、最終段階では、実地調査・ユーザーヒアリングなども行いました。これらの専門審査に加えて、審査委員会2回の審議を経て、本日表彰の39件を決定しました。
 応募作品はどれもアイデアや工夫にあふれ、特に上位100件ほどは、それぞれの分野で高い評価に値するレベルのものばかりであります。惜しくも落選した作品の中にも、将来が楽しみな作品が多数あったことを申し添えます。
 
受賞作品の特徴
 厳しい経済環境と競争の中で、たゆまぬ研究開発を積み重ね、高度かつ独創的な技術・アイデアにより、優れた作品を生み出されていることに、いつもながら感銘を受けております。
 今回応募作品全体の特徴を一言で表すのはなかなか困難ですが、一般部門では、従来技術の改良だけでなく、発想を転換した革新的な技術や、実用性・安全性の向上を意識した製品が増えてきたと感じました。
 長官賞作品は、「紫外線発光ダイオードによる太陽光に近いRGB方式白色LED」です。今後、幅広い製品または分野への応用・活用が期待されます。
 長官賞に次いで優秀な作品として選出した「超大画面・薄型・曲面プラズマディスプレー『SHiPLA』」は、大企業をスピンオフして粘り強く開発を続けて完成させた優れた技術であり、今回、審査委員会特別賞を特に設け、表彰することとなりました。
 ほかにも多数ありますが、たとえば「液体包装容器『PID』」は、すでに大手しょうゆメーカーに採用され、昨年のヒット商品になっています。独自の方法で空気の流入を遮断し、酸化を防ぎ鮮度を保持する画期的な包装容器であると評価されました。
 ソフトウエア部門では、ウェブ関連技術・サービス、セキュリティ、CADなどの作品の中から、ユーザーニーズに応えた実用性や市場性が期待される作品が受賞されました。優秀賞の「色の並び順による自動認識コード『カラービット』」は、自動認識コードであり、これまでバーコードの使えなかった分野への活用を可能とするものです。

6名に産学官連携特別賞
 産学官連携特別賞としては、6名の方を表彰させていただきました。他企業とのアライアンスにより共同開発を行ったもの、さらには公的機関が所有するシーズをこれまで蓄積してきた技術に活用して商品化・実用化したものなどが数多く見られます。

3社に環境貢献特別賞
 環境貢献特別賞は、今回は3社が受賞されました。この賞は、部門表彰作品の中で、特に環境に貢献すると認められる作品を併せて表彰するものです。経営者のご努力には敬意を表するものです。
 今回、多くの応募作品の中で、優秀と評価された作品を見て日本の将来は暗くないと強い印象を持ちました。16年前、阪神淡路大震災の数日後に神戸に行き、大変なショックを受けました。街を歩きながら浮かんだのが「サスティナブルシティー」という言葉です。災害や環境変化、経済状況の変化など、状況の変化に強く柔軟に対応できる街、国、社会ということでサスティナブルという言葉を当てはめました。そして神戸に「新産業創造研究機構」を作り、中小企業間の協力、大学の知財を中小企業へ移転してベンチャーを育成する機関を作りました。環境変化の時代は、柔軟な新しい産業が生まれる構造を社会の中に持たせることが重要と考えたからです。「動的産業構造」を神戸に持たせることで、復興に寄与することができると考えたのです。

新しく、若い産業を育成
 2カ月前起こった東日本大震災の被災地の復興には、復興への道を定めて、一丸となって努力し、考えないといけません。その中で新しい産業は復興の大きな柱になるでしょう。これはただの復旧ではなく、科学技術の新しい知見を取り入れて、若い産業が新しい道を切り開いていくことが、低迷する日本の再生につながるからです。
 技術開発の重要性は従来にも増して大きくなっています。本賞が中小企業の皆様の技術開発を少しでも応援できればと思います。わが国が、世界の競争の中で技術立国を保持するためにも、独立・自営の中堅・中小企業の皆様にどんどん新しい技術や製品を開発していただきたいと存じます。
 受賞者の皆様のさらなるご発展と、主催者・関係各位の変わらぬご努力をお願いいたしまして、簡単ではございますが、審査講評とさせていただきます。


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