第28回「中小企業優秀新技術・新製品賞」

審査委員長

新井 民夫
(芝浦工業大学 教授)
新井 民夫
受賞者の皆様、誠におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。
 第28回「中小企業優秀新技術・新製品賞」には、「一般部門」217作品、「ソフトウエア部門」46作品のご応募をいただきました。
 数多くの、レベルの高い応募作品の中での入賞は難しいものであり、わたしども審査委員の選考も困難を極めるものになりました。
 本賞は「優秀性」「独創性」「市場性」の大きく三つの観点をもとに、さらに「中小企業らしさ」「環境に対する配慮」「社会的有用性」など社会の要請も考慮に入れて審査いたしました。
 一般部門、ソフトウエア部門それぞれの専門審査委員会で数回に亘り議論を重ね、最終段階では、実地調査・ユーザーヒアリング等も実施しました。専門審査に加えて、審査委員会で部門横断的な見地から審議し、入賞を決定しました。
 中小企業庁長官賞の「回転式連続プレス加工法『ODF MILL』」は金属管の新しいプレス加工法です。チェーン連結したL字金型が、旋回しながら周回し、一工程で成形できます。全工程で板材のヘリを拘束して歪みを防ぎ、安定的な成形を可能にしました。また、さまざまな厚さの板材に一台で対応できます。競合製品と比較して多くの優れた特長を有しています。受賞企業の長年の技術開発を集大成した、長官賞にふさわしい作品だと思います。
 入賞作品の総評を一言で申し上げるのは難しいのですが、一般部門では、長年培ってきた技術に更なる工夫を加え、高いレベルに仕上げた製品や、複数の技術を組み合わせ最適化し、シナジーを引き出した創意工夫ある製品が目に付きました。分野としては、点滴、嚥下困難対応、弱視訓練、認知症高齢者の徘徊見守りサービスなど医療・福祉関連の製品が目立ちました。これらは昨今の社会ニーズを反映したものと言えるでしょう。一方、ソフトウエア部門では、タブレットやスマートフォン向けアプリケーションソフトウエアが目立ちました。
 ソフトウエア部門優秀賞の「iPad向け勤怠管理アプリ『タブレット タイムレコーダー』」は、今日でも、多数の機械式タイムレコーダーが販売されていることに着眼し、従来のタイムレコーダーにはなかったビデオメッセージなどの新しい機能を加えた、安価で小規模企業にも導入し易い勤怠管理ソフトウエアです。
 産学官連携特別賞は、5名の方を表彰させていただきました。
 一般部門優秀賞「医薬品注入器検査装置『点滴センサIDC−1301』」は、看護師の点滴支援ツールです。液滴を光学センサでモニターし、点滴速度を数字で監視することができるため、医療現場の評価も高い製品です。秋田県産業技術センターとの連携成果です。
 環境貢献特別賞は、2作品が受賞されました。
 一般部門優良賞の「電気推進コンテナ船『ふたば』」は、電気推力、船橋船首配置、バトックフロー船型の三つの技術を組み合わせて、燃費改善、CO2削減と騒音減少による乗員の船上環境の大幅な改善を実現しています。
 ここにお集まりいただいた受賞者の皆様は、自社の技術・製品が高く評価されたことでお喜びのことと存じます。その喜びをエネルギーとして、自社のみならず、他社の技術・製品もお知り合いの方々にぜひ紹介していただきたいと思います。それは受賞者の義務であり、権利でもあります。
 日本経済の発展は、ものづくりの弛まぬ技術革新から生み出されたと言っても過言ではなく、そのなかでも、中小企業は大きな役割を担ってきました。
 今回の受賞作品のなかにも、他社の追随を許さない高いレベルの製品や、中小企業らしい着眼点からユーザーの利便性を追及した独創的な製品が多く見られ、日本の中小企業のものづくりの力は、いまだ健在だと感じました。これらの成果は、経営者はもとより社員の皆様の技術開発に懸ける情熱と精進の賜物です。あらためて敬意を表するとともに、これからも新しい技術・製品を創り続け、わが国産業界をリードしていただくことを切に期待するものです。
 最後になりましたが、受賞者の皆様のさらなるご発展と、主催・関係各位の変わらぬご努力をお願いいたしまして、簡単ではございますが、審査講評とさせていただきます。



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